マンション住民の間で一番トラブルに発展しやすいのは騒音問題です。
ある調査では実に6割ものマンション住民が騒音問題を抱えているという報告もあります。
近年建てられるマンションでは防音性の高いフローリングを採用したり、床スラブ(床材)を厚くするなどで対策をしていますが、ではヴィンテージマンションではそうした対策は取られているのでしょうか?
ヴィンテージマンションの騒音問題について深く掘り下げ、ご報告いたします。
★構造上は騒音には弱いが、トラブル発生は少ない
今やマンションの室内は全室フローリングが当たり前となっています。
住民の嗜好もありますが、構造や製品の性能が向上したのも一つの要因です。
しかしながらヴィンテージマンションが建設された数十年前にはこうした技術はありませんでした。
つまり構造上は、騒音問題には強くないのが一般的なヴィンテージマンションです。
スラブ厚についても現在では20㎝が標準となっていますが、かつては15㎝以下。
部屋と部屋の間の壁も、やはり今よりは厚くない物件が数多くあります。
しかしながら、ヴィンテージマンションにおいて騒音が特別問題になったという話を聞いた人はほとんどいないでしょう。
それは住民の意識の高さがあるからなのです。
★モラルの高い住人がマナーを守り騒音トラブルを回避
例えば、ヴィンテージマンションに住んでいる住民の層と言えば、一般的に「富裕層」「社会的地位がある」「年齢層は高め」などが挙げられます。
こうした人たちは「資産」としてヴィンテージマンションを購入された方がほとんど。
モラルが高く、マナーを守って生活していることはすぐに分かるでしょう。
また騒音問題の主な要因と言われるのが、子どもの足音やピアノを弾く音です。
しかしながらヴィンテージマンションに若い夫婦が住むケースは多くありませんし、もし入居したとしても子どもへのしつけをきちんとすると考えられます。
またピアノを所有していたとしても、十分すぎるほどの防音対策を施しているものです。
このように住民のモラルの高さが秩序を維持し、騒音トラブルを回避しているのもヴィンテージマンションならではなのです。
★トラブルに発展しないのはコミュニティの存在も
こういう興味深い報告もあります。「上の階の音が気になる」のは、全くつきあいのない家同士では86%なのに対し、顔見知りでは47%と半減します。
つまり、住民同士のコミュニティがしっかりできているヴィンテージマンションでは、騒音問題に発展しづらいとも言えるのです。
またヴィンテージマンションは築後数十年経っているマンションです。この古さが実は鍵です。
規定のある物件もありますが、大抵は住民がリフォームやリノベーションを施して住んでいます。
その際、騒音対策を施しているケースが少なくありません。
建物の構造が騒音に弱くても、それを様々な形で補っている。
それこそがヴィンテージマンションなのです。